非伝統的金融政策 ゼロ金利政策と異次元緩和政策 ~note連動~ | 桜内ふみき 公式サイト

非伝統的金融政策 ゼロ金利政策と異次元緩和政策 ~note連動~

日銀の異次元緩和政策に出口はあるのか?円安・物価高への対応策を理論的に説明します。

この動画に関して以下のコメントをいただきました。Q&Aとして、そのコメントへの回答を書いてみました。


Q: マネタリーベースとマネーストックのグラフ初めて見ました。目からうろこです…… 公定歩合・基準貸付利率をマネーストックに引き付ける方法とかの解説を期待しています。いつもありがとうございます。


A: コメントをいただき、誠にありがとうございます。

社会会計の観点からすれば、マネタリーベースとマネーストックの増減メカニズム(複式仕訳)には、日銀券の場合を除き、ほとんど相互の関連性はありません。従って、信用乗数にしても、期待インフレ率に働きかけるというリフレ派にしても、理論的には既に破綻した考え方だと思います。

そんな中、現在の円安・物価高への対応としても、また異次元緩和からの出口という意味においても、政策金利を引き上げるか否かという議論は避けて通れないと思います。

伝統的金融政策においては、ご指摘の公定歩合・基準貸付利率、あるいは無担保翌日物銀行間金利といった日銀の借方(資産側)の利率が政策金利とされます。ところが、2008年11月以降、世界金融危機への対応として日銀も貸方(負債側)の利率である日銀当座預金への付利を導入しました。従来、伝統的金融政策における政策金利は金融機関の「調達金利」であったにもかかわらず、非伝統的金融政策においては日銀当座預金への付利、すなわち金融機関の「運用金利」が政策金利であると主張されるようになりました。

実際、インフレに対応するために政策金利の引上げが議論される際、白川前総裁、黒田総裁だけでなく、FED、BOEも中央銀行の準備預金(日銀であれば当座預金)への付利も連動して引き上げることとされています。 しかし、社会会計の観点からすれば、中央銀行の金融政策遂行上の主要なツールである政策金利が、貸借対照表の借方(資産側)の利率である公定歩合・基準貸付利率、あるいは無担保翌日物銀行間金利から、貸方(負債側)の利率である当座預金(準備預金)への付利に変更されたことに強烈な違和感を覚えます。それでも会計学や経済学上の何らかの理論に基づく変更であればまだマシなのですが、FEDも、BOEも、日銀も、この変更について何の説明もしていません。

にもかかわらず、ほとんど全ての経済学者・エコノミストは、異次元緩和の出口またはインフレ対策(円安対策)として政策金利の引上げについて議論する際、次のように煽ってきます。

「日銀当座預金への付利を引き上げなければならない」

→「それによって日銀の期間損益に逆ザヤが生じて日銀が赤字になる」

→「累積的な赤字によって日銀が債務超過に陥り、日本円に対する信認が失われる」

そんなことになってはいけないから、日銀は政策金利の引上げができないという結論を彼らは導くのです。しかし、上記の議論がその大前提である「政策金利とは何か?」という点で間違っていることは明らかです。

伝統的金融政策における政策金利とは、あくまでも日銀の貸借対照表の借方(資産側)の利率である公定歩合・基準貸付利率、あるいは無担保翌日物銀行間金利です。だとすれば、インフレ対策(円安対策)として政策金利を引き上げるとしても、日銀当座預金への付利を0%に据え置いておけば、日銀が期間損益の逆ザヤで赤字になったり、債務超過に陥ることもあり得ません。

また、旧来の経済学者・エコノミストは、政策金利を引き上げる金融引き締めによって、景気がますます悪化すると主張し、断固としてゼロ金利政策の維持を主張しています。 しかし、これも社会会計の観点からすれば、完全に間違っています。

社会会計(SNA: 国民経済計算体系)の勘定体系においては、国内総生産勘定で記録・表示される総需要やGDPと、所得支出勘定(その中の財産所得という勘定科目)で記録・表示される金利との間には、直接の勘定連絡は存在しません。従って、日銀が政策金利を上げようが下げようが、総需要やGDPに対して直接の影響を与えることは理論的に不可能です。そして、国内総生産勘定における総需要と総供給との均衡点で決定される物価水準(一般物価)に対しても、日銀の政策金利が直接の影響を与えることもあり得ません。

ここでようやく最初のご質問「公定歩合・基準貸付利率をマネーストックに引き付ける方法」に戻って回収しますね。実は、身も蓋もない話ではありますが、日銀の政策金利である公定歩合・基準貸付利率(あるいは無担保翌日物銀行間金利)がマネーストックの水準に対して直接的な影響を及ぼすことは、複式簿記という数学の上ではあり得ません。 しかし、社会会計(SNA: 国民経済計算体系)の金融勘定において、以下の会計恒等式が常に必ず成立します。

[借方]銀行の金融資産(投融資)の変動≡[貸方]マネーストックの変動

政策金利の操作ではなく、昔の日銀の窓口指導のようなやり方の方が、実はマネーストックの増加・減少に対して直接的な影響を及ぼすことができます。社会会計の観点からすれば、日銀だけでなく、政府の財政運営も含め、破綻を避けつつ正常化させる道は必ず見つかります。


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<note本編はこちら> 第3章  https://note.com/fsakura/n/ne34607a76b05

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